カイゼンの一歩目をローテク支援!
叩き台屋のカラクリ研究所です!
福祉・介護・医療・農業、色んな職場のカイゼン活動を見て思うのは、
「議論ばっかりしてて、さっぱりモノができないじゃん!」
その事です。
理系が集う現場なら図面で会話もできますが、文系寄りの集団に図面を投げてもキョトーンとなるのが関の山。モノを見て会話するしかありません。
この分野のカイゼンは議論ばかりを積み重ね、なかなかモノができない。できないゆえにみんな鬱憤が溜まってます。叩き台が一個あればそれを叩いて叩いてアッという間に職場仕様の立派なモノができます。
議論は凄いカネを消費してます。前に進まにゃ大損です。
阿蘇カラクリ研究所は理系特有の難しい言葉で文系を惑わす事は致しません。経営的視点も持ち合わせてませんので「長い目で見て云々」など口が裂けても言いません。黙って聞いて黙って作る。ただし、今その瞬間赤字だと仕事を断ります。こちらはバカとハサミです。上手く使って立派な効果を上げて下さい。
兎にも角にも一匹狼の小さな研究所はカイゼンの一歩目に寄与する叩き台屋になりたい。ハイテク・量産・カネになりそな仕事は他を当たって下さい。その議論まずはカタチにさせて下さい。
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事例1:汚物回収台車
職場で議論を重ねた末、工作好きの誰かが手作り台車を作ったそうです。



今も稼働中で、これナシでは仕事にならないとの事ですが、ペダルの位置が高く、フタの開閉がキツいとか、タイヤの音がうるさいとか、色々問題もあるそうです。
これが企業の生産現場なら試作課とか生産技術課とか、カイゼン担当の部署が即時修正を加えますが、医療や介護の現場はそういう組織を持ちません。問題ばかりが蓄積され、議題として遊ばれていた頃、弊社が相談を受けました。
弊社こういうローテク仕事が大好きです。工作の匂いが強ければ強いほど燃えます。即刻図面を描きました。



ペダルの位置を極限まで低くし、タイヤはベアリング入りの高級品にしました。



早速叩き台を職場に提供しました。即カイゼン会議にかけられ、現場で働く全ての人が色んな意見を出し合いました。
眠っていた議題が蘇りました。
モノは当事者を多弁にさせます。迅速な改良は議論に本物の熱を与え、このカイゼンは更に力強くなります。この繰り返しがカイゼンの健全なルーチンで、職場の効率アップと雰囲気改善に大きく寄与し、延いては経営を助けます。
現場が問題点を指摘しても改良が進まないというのは「言ってもムダ」の蔓延に繋がり、カイゼン活動を殺します。議論し意見を集約した以上、それをカタチで返さなければ百害あって一利なし。そんな議論はない方がマシです。
こうして更なる要望を受け、次の改良に着手中です。(2016/03記載)
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事例2:パウチ食品搾り出し器
ドロドロしたものが入ったパウチ食品を搾るのに、現状、割ピンで挟み、グルグル巻いて吐き出してるそうです。



壮年ならば何て事ないこの作業も老年に入ると実に苦しく、老々介護の昨今、切実な問題だそうです。
ここに一人の男気ある中年がいました。中年は臨床工学技師でした。
老人の嘆きを無視できず何度もメーカーに相談したそうです。
結論、吐き出し口の口径を広げればいいのですが、こういうモノの規格を変えるには相当な粘り腰と組織力が必要で、そこまでやる案件ではなく、現状これ以上の変更・改良は望めないとの事でした。
弊社も単純・シンプルに勝るものはないとの観点から搾り出すにはこれが適当と返したのですが中年の男気は枯れませんでした。
「何か作りたい!据付型でもいい!何かいいモノを作りたい!」
介護の現場は寝たきりの方が多く、持ち運びしない据付型でもいいとの事で、挟んで折り畳む構造はどうかと提案しました。



男気に火が点きました。
「よし!とりあえず作ってみよう!」
使用済みのパウチをお借りし、現品合わせでガリガリ削って仕上げました。



臨床工学技師はこの叩き台を現場に投げました。
「感想を聞かせて!」
叩き台屋としては「据付型」と言って欲しかったのですが燃える男気にそれは小事。「とりあえず現場で使って感想を述べよ」と看護師に託しました。
看護師の第一声は「重いなぁ」その後どういう流れでこうなったのか分かりませんが、基本構造を見直そうとなり、現在「小型ドライバを用いた巻き搾り方式」で検討中です。
国や企業に文句を言っても前に進めませんが叩き台があると前進が望めます。そして何より仕事が前向きで楽しくなります。(2016/03記載)
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