第13話 一人の日(2007年7月) 3KB

家族

約二週間、嫁と子供が埼玉に帰省している。
人科最強の寂しがり屋である私は、一人っきりにならぬよう綿密な計画を立てたわけだが、誰も捕まらなかった日が一日だけできてしまった。
7月27日である。
仕事が終わって真っ暗の家に帰る。この時点で気が滅入るのに、溜まった洗濯物まで目に入ってきた。
結婚して一度も洗濯をした事がないだけに、まずは洗濯機の使い方を勉強しなくてはならない。パソコンで調べた。が…、洗濯機の仕様は載っていても使い方は載っていない。洗濯を諦めた。
次に皿洗いをしようと台所に立った。洗剤をスポンジにつけ皿を持った。しかし、それから先へいく勇気が湧かず、これも続行を諦めた。
せめて敷きっぱなしの布団を上げようと布団に手をかけた。しかし、触った瞬間に寝転がりたくなり、数分後には寝てしまった。
夜、あまりの暑さに目覚めた。
時計を見ると午前二時、部屋を見渡すと荒れすさんでいる。
「これではいかん」と気合を入れ、掃除を試みた。
落ちているものを片付けようと手を伸ばした先に鏡があった。見ると微妙ではあるが鼻毛が出ている。しばし鼻毛と格闘した。
戦いの後は腹が減る。
嫁が買いためてった冷凍ピラフをレンジへ投げ入れ、次いでカップラーメンを食うべく湯を沸かそうと試みた。しかし、ガスの元栓が狭いところにあって手が届かない。湯を沸かす事を諦めた。
冷凍ピラフのみを食い、時計を見ると午前3時。
私は今、焼酎を飲みながらこれを書いている。
こんなものを書く暇があれば洗濯すればいいのにと思わないでもないが、体が猛烈な拒否反応を示している。
(寂しい…、暇だ…、何しよう・・・?)
そんな私が手にしたものはビリーズブートキャンプのDVDだったが、3分後にはまた違う事をしているのであった。
今日は夜が長い。