家族

家族

第111話 我輩ハ夫デアル(2015年11月) 10KB

我輩は夫である。名前はまだない。17年前に拾われて此の方「フクチャン」という血統で呼ばれ、名前で呼ばれた事がない。我輩は夫であるがゆえ飼い主の幸せを求む。むろん子の幸せも求む。が、それは飼い主に属すオマケであって、父としてのそれよりも夫とし...
家族

第105話 ばあちゃんにあげたい(2015年2月) 9KB ☆

御歳91になる祖母がいる。嫁の祖父母も私の祖父母もポツポツ逝って、この祖母が最後の要になってしまった。以下、全力の親しみを込め「ばあちゃん」と呼ぶ。年に数回ばあちゃんを見舞う。ばあちゃんは柿が好きで三食柿でもいいと言う。仕事の繋がりで柿農家...
家族

第101話 そんな道子のガン騒動(2014年10月) 8KB

「これ絶対ヘンじゃない?」道子が首筋を触れと言ってきた。何だかピキッとして痛いらしい。触った。が、分からなかった。「何で分からんと?」道子は怒った。納得がいかないらしい。明らかな違和感があるらしく、首の痛みが手に腰に広がっている感じがするら...
家族

第96話 家出の達人(2014年5月) 13KB

反抗期の峠を越えた高校生ぐらいから家出を常用している。家出という言葉の響きは極めて悪い。が、色んな事を短期に収束させるという点において、これ以上の方法を私は知らない。嫌な事があってムシャクシャした時にジッとしていると、そのムシャクシャに押し...
家族

第94話 父子のバスケ(2014年3月) 9KB

小学校の四年五年六年と長女はバスケ部に在籍した。三年を通して応援団のポジションを譲る事はなかったが、何はともあれ辞めなかった事が素晴らしい。「最後の試合は気合を入れて観に行くぞ!」「絶対来んで!お願いだから来ないで下さい!」長女の嘆願虚しく...
家族

第71話 目線について(2012年1月) 5KB

「サンタさんて、おらんとばい」ある日、長女がそう言った。四年生であった。聞けば同級生から得た情報らしく、その「同級生の言い分」というのが実に面白い。サンタさんのプレゼントに赤いリボンが使われていたらしい。同級生はそのリボンに見覚えがあった。...
家族

第69話 十年~叡山など~(2011年11月) 18KB

この旅に同行している道子と太陽は歴史というものに興味がない。道子は美味いものが食えればいいと思っており、太陽は高いところに登れればいいと思っている。が、この町(大津市)は至るところに歴史が溢れている。三日目はグルメと登山を織り交ぜつつ歴史散...
家族

第65話 走る嫁、伴走する夫(2010年9月) 6KB

娘を叱る時だけ熱くなり、普段は冷え冷えしている。それが嫁である。昔の嫁は実に熱かった。男子寮の塀を余裕で乗り越え進入し、寮の二階を占拠した。男子寮なので男子便所しかなかったが何食わぬ顔で常用し、ションベンしてる同僚の横で歯を磨いた。後輩は非...
家族

第63話 一人いる夏の日(2010年7月) 14KB

嫁子供が埼玉に帰省している。従って、二週間ほど独身である。常日頃の私なら何かと予定を入れるところであるが、今回は溜まった仕事を少しでも片付けようと思い、特に予定を入れなかった。ただ、なるべく家にいないよう気を使った。私という人間は類稀に見る...
家族

第59話 新型騒動(2010年2月) 7KB

前話で書いた自動機を何とか一月中に立ち上げた。三日ほど出張し、客先に納め、阿蘇に戻ったのは2月3日。節分であった。家族で豆まきをやろうと急ぎ戻った父親であったが、留守にしていた我家はどうもそういう状況ではなかった。長女と三女がグッタリしてい...