南阿蘇

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第132話 鍋の底にいるんだ(2017年11月) 11KB

当たり前の事を書く。南阿蘇という場所は世界一のカルデラの中にある。マグマをボコボコ噴出し、地面の下が空っぽになり、ドーンと沈んで鍋みたいな地形になった。鍋のふちが外輪山で、その鍋は流行りの仕切り鍋みたいに中央ちょっと南側で仕切られていて、そ...
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第120話 夏パラダイス板東池(2016年8月)10KB

地震後、幾つも水源が枯れた。「枯れたぶんはどこへゆくのだろう?」不思議に思っていたら色んなところで水が噴き出したり水量が増えたりした。一つの事例として板東さんちを紹介する。板東さんは水源の隣に家を借りていて、地震後危うく水没しかけた。 「ど...
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第108話 すぐそこの色々(2015年5月) 9KB

熊本平野からもバッチリ見えるので気になっている方も多いと思うが山の斜面に二つの噴気孔がある。 調子のいい時は雲を成すほど噴いていて、実に不気味。歴史的にもこの辺りは湯の谷大変という水蒸気爆発(1816)があって、宗徒の湯谷を吹っ飛ばしている...
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第48話 集落の雑談(2009年3月) 9KB

つい先日、96歳の爺様が失踪した。自営消防隊に入り、初めての人探しがそれであったが、この日は凄い雨であった。爺様の集落は阿蘇五岳の中腹にあり、足腰も弱っておられるという事で、早く見付けねば命に関わる。ご近所、親族、総出で探されたらしいが見付...
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第46話 田舎選挙(2009年2月)6KB

ここ数日イライラしている。選挙である。我家は南阿蘇村の大通り沿いにあり、選挙カーの往来が激しい。更に駅も近く、空き地もあり、集落の規模もまぁまぁ大きいため、その騒音は途切れる事がない。ビラもひっきりなしに届けられる。「知り合いだからよろしく...
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第38話 恋慕の人と芸術(2008年9月)7KB

阿蘇の音楽家といえばビエントである。西原村に住んでいる二人組で美女と野獣の組み合わせがビジュアル的に何ともいえない。音もいい。情熱家の私にとって意味不明に鬼気迫るサビの部分は何かをやろうとしている時に具合が良く、仕事のBGMとしては打ってつ...
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第36話 夢のつづき(2008年8月)9KB

田舎の要諦は保守的思想にある。万物は諸行無常であるから理屈としては変化に順応していかねばならないが、こと田舎にあって、変化は大いなる事件でしかない。それは田舎の営みが自然に拠っていて、自然は同じ循環を繰り返しながら時として大いに暴れる。人間...
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第35話 田園の営み(2008年8月)8KB

標高400メートルの南阿蘇といえども夏は暑い。理論値で3度ちょいしか変わらず、平地が35度の猛暑日であれば谷の温度は32度。やはり暑い。仕事をやっててヤル気がなくなる瞬間といえば、やはり昼飯の後である。雇われの身であれば「ヤル気がなくなりま...
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第32話 神話の道(2008年7月) 19KB

阿蘇は神話の里である。建磐龍命(たけいわたつのみこと)という神武天皇の孫が阿蘇そのものを造ったらしい。日本という国の始まりは色々な人が色々な事を言っててよく分からない。分からないが、年号を始まりとするなら神武天皇から始まっている。その元年は...
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第29話 陰と陽(2008年6月) 9KB

私のいる場所を河陽という。明治12年まで河陽村という一つの行政区だったが、長野村、下野村と合併し、長陽村になり、その後、南阿蘇村になった。河陽は南郷谷の西側になる。白川を境に河陽村、河陰村と分けられている。中国地方と同じく、日照時間の関係か...
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第28話 道について(2008年5月) 8KB

手元に明治35年の地図がある。地元の教育委員会に頂いたもので、縮尺は1/50000、阿蘇南郷谷の地図である。今、私のマイブームはこれに載っている古道を探す事で、現在の地図とこの地図を照らし合わせ、事前に検討を重ねた上で現地を走っている。走る...
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第26話 碧翠楼(2008年5月) 19KB

阿蘇谷を流れる川を黒川という。南郷谷を流れる川を白川という。この二つの清き流れはそれぞれの谷の低いところをゆるりと流れ、立野で合わさって白川となり、それからは勢いを増して大津へ落ち、以後のんびりと旅を続け有明海に注がれる。熊本が誇る一級河川...
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第24話 阿蘇下田の話(2008年4月) 11KB

私が暮らしている南阿蘇村は2005年に生まれた。御多分に漏れず平成の大合併により産声を上げた村で、その身は長陽村、白水村、久木野村から成る。村民は約12000人。意外に多いというのが私の感想だが、村の面積を見れば、(まぁ、このくらいはいて当...