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第155話 全集中とスマホ(2022年4月) 4KB

四半世紀前か、治工具設計を学んだ際「モノの誉は単機能」と教わった。「一つの機能に集中せよ、他は考えるな、考えたとしても単機能が極まった後それを展開すればいい、何やかんやで単機能が無敵」作り手の話だと思ってたけど最近は使い手にも言えるなとスマ...
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第143話 ネクタイしません(2019年3月) 5KB ☆

三女の卒業式だ。嫁はスーツで行けと言う。長女の時は作業着で行った。次女の時はスーツで行った。今回は僕の番、作業着で行きたい。が、いい歳だからスーツで行けと嫁が譲らぬ。「ちゃんとしてよ」「ちゃんとしてる、何度も言うが作業着は技術屋の正装、汚れ...
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第110話 アルミフレームストラップ(2015年8月) 9KB ☆

呑み会に呼ばれた。持ち寄りらしい。手土産は何にしよう。みんなに喜ばれ、且つカラクリ屋っぽいものがいい。土産はあなどれない。忘れたくても忘れられない出来事がある。自営業の会という呑み会を開いた。ヤマメ屋はヤマメを使った惣菜を持って来た。パン屋...
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第107話 下半身ポスト(2015年4月) 9KB

工場勤めを辞める時、モノ作り屋はやめようと思った。当時、ものを書く面々に囲まれていて書く仕事に憧れた。次は出張多めの営業マンに憧れた。その次は一本気の旋盤職人に憧れた。経営者にもフーテンの寅さんにも憧れた。公務員だけ憧れなかった。結局色々や...
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第95話 愛、それは作業着(2014年4月) 10KB ☆

長女の卒業と入学があって、ここ数日式典が多かった。式典は正装で臨まねばならない。技術屋の正装、それは作業着であって他は知らない。まずは卒業式。私は洗い立ての作業着に身を包んだ。メーカーは自重堂。作業着の一流メーカーだから正装として非の打ちど...
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第76話 トニックの衝撃(2012年7月) 4KB

夏がくれば思い出すのは「はるかな尾瀬」ばかりではない。「トニックの衝撃」もある。そもそも私の体は薬剤に対する反応が過敏なようで、造影剤で猛烈な薬疹が出たり、リポビタンDで眠れなくなったり、ピンクの小粒で丸三日下痢になったりと実に弱い。人間に...
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第73話 大増殖、そしてショッカー(2012年4月) 6KB ☆

くまモンというキャラクターがいる。熊本県の広報担当キャラクターで、県下では知らぬ人がいない。右も左もくまモン。博多に行っても鹿児島に行ってもくまモン。衣食住、色んなところにくまモンがいて、その包囲網は徐々に狭まりつつある。人は単一のモノに囲...
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第45話 携帯パンデミック(2009年1月)10KB

PHSを持ったのが19歳だから、鎖に繋がれ13年目という事になる。当時、高嶺の花だった携帯電話というものがグッと身近になったのはPHSの出現であった。熊本県民はワサモンといわれ、新しいモノに食いつきやすい県民性という事だが、こと私に至っては...
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第31話 百式螺旋(2008年7月) 8KB

初めてラッカーというものを使った。言わずと知れた塗装用のスプレー缶だが、プラモ屋の息子でこれを使った事がないとは何とも悲しい現実である。ホームセンターでそれを手に取り、(幼少の影響は死ぬまで残る・・・、怖い・・・)その事を思った。というのも...
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第11話 顔の話(2007年5月) 5KB

私は顔がでかいらしい。頭ではない。その下にある顔である。頭もでかい方だが嫁に測ってもらったところ59センチでギリギリ大台に乗っていなかった。が・・・、顔は鼻も含めれば大台に乗ってしまいそうで測る事が憚られた。普通の人は上(頭)から下(顎)に...
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第9話 ポケベルより(2007年4月) 9KB ☆

新聞記事に載っていたが、NTTドコモがポケベルから撤退するらしい。極めて高いシェアを誇っていたドコモが撤退する事で、ポケベルという我々の青春を支えてくれた通信機器がこの世から消えてなくなる事は間違いない。首にぶら下げている携帯電話をチラリ見...
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第4話 黄色い箱の力 (2006年7月) 5KB ☆

私はバイク通勤をしている身である。乗っているバイクはホンダのカブ50。最近の古カッコいいカブ50ではなく、農家のオッサンや集金をする人、もしくは農協の職員が愛して止まない旧型のカブ50である。購入価格は2万円。価格が価格であるから、シートに...